the Letterを使ってみた感想

文章を書くプラットフォームはいろいろありますが……
kyokotom 2026.01.05
誰でも

 お正月休みは朝日新聞さんからいただいたこのthe Letterのアカウントをいじって、いろいろ記事を書いてみていた。私自身は、朝日新聞内のRe:Ronという枠で「あちらこちらに社会運動」という連載をしている。これは建築学や地理学、農学といった、社会学以外で社会運動を扱う興味深い研究論文を紹介する「おもし論文編」と、その分野の研究者と社会運動について対談するという「おしゃべり編」から成り立っている。それまで朝日新聞では「富永京子のモジモジ系時評」という、夕刊とデジタルにまたがるコラム連載をやっていて、それが終了したので次は研究者らしい連載ができたらと思いこうした企画にしてもらった。

 もうひとつ、朝日新聞では「コメントプラス」というサービスもあり、そちらのコメンテーターにもなっている。朝日新聞の記事の中で気になるニュースにコメントするというもので、もしかしたらご覧になったことがある方もいるかもしれないが、これが結構難しい。新聞の記事内で「XX研究者の△△さん」とか「XXに詳しい⚪︎⚪︎さん」といった形でコメントが載るのとは異なり、自分で記事を選んで自分でコメントすることができるから、専門性に適合しないニュースでも個人の裁量でコメントできてしまう(もちろん、これは必ずしも専門家でなければコメントしてはいけないというわけではなく、読者の思考の補助線になるということがコメントの役割だと考えると、生活者・当事者としての実感からコメントするという選択肢もありえるとは思う)。

 一応、社会運動関連の記事になるべくコメントするよう心がけているが、自分の口が緩くなるのが怖くて、実はあまり得意ではない。また、これはまだ言葉にできていない部分でもあるが、出来事ないしその報道に対して論評するという行為を頻度高く繰り返すと、どうも事象に対して第三者的な立場になり、上から目線になってしまう感じがする。これをし続けると、自分が社会を作る当事者であることを忘れてしまうような気がして、ちょっとしかできていない。もちろん、コメントプラスにも実務家やアクティビストの方は数多くいらっしゃるので、この辺は自分自身の問題だと思う。

 もちろん、テレビ・ラジオ・インターネット番組、新聞社や通信社の取材でコメントをすることはある。これらとコメントプラスの違いは何なのだろうと考えたとき、舞台設定が明確かどうかの違いなのかなと感じた。上述したコンテンツでのコメントは、台本のチェック、事前勉強、スタッフの方々との打ち合わせ、移動の手間、コメントの確認・校正といったそれなりの舞台設定があり、そうした中でコメントをするのだという緊張感もある。もちろん、コメントプラスの中でもそのような緊張感を自分なりに作ろうとすれば作れるはずだが(事実、データを引用するときはきちんと文献に当たり直したりもするわけで)、そういう緊張感が十分でないまま出来事や報道に対してコメントするということにまだ違和感がまだある。

 ちょっとコメントプラスの話が長くなったが、ともあれ、枠組みの明確な連載や、出来事・報道に対するリアクション的なコメントとは別に、もう少し自由に……一方で広い読み手を想定しながら緊張感を持って……書けるようなプラットフォームがあるといいなと思って、それで朝日新聞さんのthe Letterにお声がけいただき、こうして書き始めたということになる。個人的には、FacebookやInstagramのようなSNSに書くよりも、特定の(しばしば親密な)読み手を想定しすぎずに済むし、noteやコメントプラスのように読者のリアクションボタンがないので、変に反応を気にしなくて良いのも気に入っている。「好きなことを書いている部屋に、読者の方々に覗きに来てもらっている」というイメージが近い。割と小心者なため、すぐ「いいね」の数とか気にしてしまうので。自分のしている発信の中では、podcastが近いかもしれない。

 この記事をみなさんがどのような形で読まれているのかわからないが、ブラウザで読む選択肢の他に「メールマガジン」という選択肢があるのも、古のインターネット民としては嬉しい(もちろん、現在もメールマガジンという形式は健在であるが、1986年生まれの私としては「小泉純一郎メールマガジン」などのイメージが強い)。ちなみにメールマガジン形式で読んでみたいという方は、以下の登録ボタンから登録していただけるとありがたいです。

 お正月休みが終わったので更新頻度は少し下がるかもしれませんが、これからもよろしくお願いします。

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